「地域コミュニティで取り組む環境活動
〜西浜小学校のソーラーパネルを利用したビオトープ〜」
西浜小学校創立50周年の記念事業として設置されたもののなかに、ビオトープや小さな滝があり、そこにはソーラーシステムが組み込まれています。子どもたちへの環境教育を意識したこれらの事業は、地域コミュニティの積極的な支援協力によって実現しました。
この事業を中心になって進められたお一人であり、現在も学校を支える地域のリーダーでいらっしゃる亀山計次氏のご案内でサイトを見学し、あわせて地域コミュニティのサポートの実践についてお話を伺いました。川合校長先生、嶋村教頭先生、熊沢氏にもいろいろ教えていただきました。参加者は14名でした。
1.見学要領
日時 平成15年10月7日(火)10時〜12時
場所 茅ケ崎市立 西浜小学校(児童数450名)
案内者 亀山計次氏(南湖地区自治会連合会会長)
2.見学内容
以下の5サイトと校地内の田んぼや畑なども見学させて頂きました。
そのうち?〜?は創立50周年記念事業サイトで、平成11年に西浜小学校創立50周年記念事業推進委員会(熊沢委員長以下40名の地域の人からなる)が発足し、これらの事業サイトは平成14年11月に完成したそうです。事業化資金は、一口200円で学区の地域などから合計1,250千円寄付であつめ、主な支出は、ソーラーパネル2セットで400千円、アルミ製のパネル台200千円等だそうです。
- ソーラーシステムを活用した「ビオトープ」
・ソーラーパネル(ナショナル製)2枚(86Wx2)で
直流電器をおこし素人が手づくりでビオトープを作った。
・水ロボット(荏原製水中ポンプ)を動かし、池の水を循環させている。
・池には「めだか」や「かえる」が生息している。
・生態系の保護が課題である。
- ソーラーシステムを活用した「にしはまの滝」
・ソーラーパネル(ナショナル製)2枚(86Wx2)を
活用して電気で直流モーターを駆動し、水を循環させ滝にしている。
・日照状況により水量が変化する。
・水音が心地よく日常的ないやしの場になっている。
- 正門から教室正面までの花に囲まれた道
正門から教室正面までに道の両脇に花が植えられており、児童は花に囲まれて登校している。
・デザインは、市内在住の専門家がボランティア協力し、
たま石、植木などは地域住民が持ち寄り作業をおこなった。
・堆肥は鎌倉市から無償で取り寄せている。
- 花壇及び花の家
・花壇には種から育てた季節の花が年間を通して植えられる。
・「花の家」では苗床と園芸器具が収納されている。
・花壇や苗床の管理育成作業は地域住民によって行われている。
- くじら公園
・空き地を利用して造られた憩いの小空間である。
・花壇の手入れなどに訪れた住民等も利用する。
・くじら形の昇り台をメインに、発泡スチロール製の
日よけ屋根の下には敷地内から出土した古い電柱を
再利用したベンチがおかれている。
[その他]
・農・園芸作業等には、月に2回、50名〜60名(年間延1000人)の地域住民が参加している。
・雨水タンクを設置している。
・生ごみ処理機「ごみロボ」を設置している。(現在非稼動)
3.考察
自然エネルギーの導入が環境教育はもとより、癒し効果をもたらしていることを実感しました。
また、校内の環境整備や子どもたちの農作業指導などに日常的に多くの地域住民が関わっておられ、こどもたちを地域で育てていこうという雰囲気が伝わってきました。
高齢化社会にむけて生きがいづくりを意識し、学校が住民に活躍できる場、趣味を生かせる場、社会参加の機会を提供していること、学校を核にして地域の人材の持てる力を引き出し、世代を越えて人々による地域交流の輪を広げていることに感銘を受けました。
このようなすばらしい展開は、学校長、自治会役員などの地域社会のリーダーが、学校教育における地域コミュニティの果たす役割、学校が地域コミュニティの核として果たす役割などのコンセプトを共有して、学校運営、地域運営に当たっている成果であると思います。