トピックス12号表紙
我が家は太陽光発電所
データ報告特集

 RENの会員の中で、自宅の屋根に太陽光発電を設置している4名のデータ報告特集です。2ページの図にあるように、4件は設置容量や家族構成はさまざまです。又、設置にいたるまでの動機や思いもいろいろです。後半は各発電所の個別データとコメントが載っています。太陽光発電の設置を考えている方や興味のある方の参考になれば幸いです。
 エネルギー自給率5%という、日本で暮らす私たちは、少しでも自給率を上げるために、日本に降り注ぐ太陽や風、活用しきれていない豊富な木質エネルギーを有効利用していきたいですね。省エネに真剣に取り組み、総使用量をへらし、自然エネルギーの割合を増やしていかなくてはと思います。
 産業革命以来、石炭・石油資源の偏在がいくつかの戦争を誘発してきました。まさに現在その危険のなかにいますし、今後もその可能性が高いといわれています。世界で自然エネルギーへの「エネルギーシフト」が進めば、平和を構築する事にもつながります。国や地域レベルでもビジョンをもった「エネルギーシフト」に取り組む時が来ています。


ちがさき自然エネルギーネットワーク
CHIGASAKI RENEWABLE ENERGY NETWORK(REN)

共同代表:河原崎裕子、浦田巨子、上野ひろみ
TEL&FAX:0467−86−6807

E-Mail: yuco-k@jcom.home.ne.jp ホームページ:http://www.i-shimin.net/~ren/


4発電所データ一覧

 
小笠原発電所
武田発電所
ソーラーハウス西川
上野発電所
設置容量
3.6kW
4.79kW
1.64kW
3.06kW
屋根の向き
西(やや南)
20
20
南西27度(68%)
北東17度(32%)
メーカー
サンヨー
京セラ
MSK
松下
契約形態
ナイトテン
ナイトテン
従量電灯B
ナイトテン
家族構成
4
3人
2人
5人
設置年月日
20003
19994
20018
199810
備考
   
5年使用の物を購入
 
設置地
藤沢市城南
茅ヶ崎市浜之郷
茅ヶ崎市小和田
寒川町中瀬

太陽光発電 設置容量の目安

 電力使用量は、家族構成や所得、ライフスタイルなどによってさまざまですが、「標準的な家庭(夫婦と子供2人の4人世帯)」では、電力使用量が月平均280kwhとされています。(全国平均)太陽光発電パネル 1kWで発電する電力量は年間で1000kwh 程度(気象状況や設置向き等によって変化します)とされています。
 4人家族で年間3360kwhを消費すると仮定すると、3・36kW程度のシステムがあると自給できる計算になります。

『よくわかる自然エネルギーQ&A』
自然エネルギー推進市民フォーラム(REPP)【編】合同出版より抜粋

太陽光委発電量と消費量グラフ

 年間の発電の傾向を折れ線グラフで表しました。O邸とN邸は茅ヶ崎の東側に位置します。 グラフ曲線がとても似ています。U邸とT邸は茅ヶ崎の西側に位置しています。(茅ヶ崎市は東西約20km)茅ヶ崎の中だけでも気象の違いがあるのではないでしょうか。


3キロワット換算発電量非核

2001年9月_2002年8月までの発電効果とCO2削減量
発電所名
売電量

kWh

売電金額

買電量

kWh

買電金額

総発電量

kWh

CO
削減量kg 
売電料金-買電
料金円
O邸
2329
68213
2764
60046
3821
1375.6
+8167
U邸
2066
59942
1633
42883
2718
978.5
+17059
N邸
1010
21989
3591
88229
1895
682.2
-66240
T邸
3159
 
3371
 
4364
1571.0
 
合計
8564
 
11359
 
12798
4607.3
 

4軒の太陽光発電によるCO2削減量合計は、1年間で4607kgになりました。牛乳パックに換算すると4607本分になります。8月の発電量から、夏場のピークカットにも有効な事がわかります

CO2削減量

小笠原発電所

小笠原 明生

 まずこの一年間を合計した電気料金が黒字、つまり家計簿の支出上はマイナスだったことは、正直言って驚いた。黒字までいかなくても対前年比で大幅に電気料金が下がるだろうとの予想はしていた。黒字になった大きな理由は東京電力が推進するピークシフト対策の「お得なナイト10」を契約したためである。この契約は夜間(午後10時から午前8時まで)料金単価が格安になり、反面、昼の単価は高くなる。しかし、太陽光発電して売電する分も高くなるので、二回お得になる。この「お得なナイト10」を契約してからは、午後10時から午前8時までの間に、電気を使うような工夫を家族全員に徹底した。例えば、掃除・洗濯とかドライヤーなどはこの時間帯で使うようにした。

 しかし、反省点もある。年間使用電力量が前年と比べてあまり変わらなかった点である。太陽光発電で自然エネルギー利用促進に貢献しているという供給サイドの意識が強く、家庭での電力使用を下げるという需要サイドの努力が足りなかった。例えば、部分照明器具があるのに、全体照明(居間とか食堂など)のつけっぱなし、冬の暖房エアコンの使いすぎ(もう居間には誰もいないのに止め忘れ、子供部屋の電気ストーブの止め忘れ)などである。

 発電量は最高が8月、最低が6月だった。日照時間と関連しているため年によって最高、最低の月に多少のばらつきがあるようだ。しかし、梅雨時は雨や曇天の日が多く、日照時間が少なくなり、発電量が減るのはやむをえない。この時期の降雨量が日本人にとって貴重な水源にもなるので、梅雨時の太陽光発電が多いとむしろ好ましくないとも言える。

 消費量は最高が1月、最低が10月だった。よく見ると9月、10月、11月とほぼ同じ電力消費である。1月は外気温度が下がり、あきらかに暖房のための電力消費である。例えば冷蔵庫の運転時間も長くなる。また、この時期には二つの子供部屋で電気ストーブが使われ、電気を付けっぱなし寝てしまうこともあるようなので、その分は無駄な消費であり、改善の余地がある。消費量最低の3ヵ月間は、しのぎやすい天候が続き、冷暖房は使わず、窓の開け閉めをアクティブに実践しているのであまり電気を使わない。

 来年は、家族一人一人が節約の意識をもう少し持ち、消費電力の削減にチャレンジしていきたい。

O邸発電グラフ


太陽光発電で太陽の恵みを実感

武田俊司

 我が家が「太陽光発電所」になって、今年の4月で4年になります。

 太陽光発をしようと考えたそもそものきっかけは、16年前世界中に深刻な被害を及ぼしたあのチェルノブイリ原子力発電所の大事故です。「核の平和利用」「クリーンなエネルギー」といわれる原子力発電は、「平和」でも「クリーン」でもない恐ろしく危険な代物だということが分かり、「原発の電気は悪魔の電気だ!」と思いました。その当時、日本の原発責任者は日本の原発の安全性を強調し、「原発に反対するなら、電気を使うな」などとメチャクチャな事を公言していたのですが、私は「危険な原子力発電、何千年も管理しなければならない核廃棄物という大きな『負の遺産』を子孫に残してしまう原子力発電は、やめなければいけない。どうにかして原発を減らしていく取り組みをしなくては。そのためには、自分のできることから始めるしかない」と思ったのでした。

 「自分に出来ること」は、どんなことがあるか。すぐに出来るのは「節電」ですが、これだけではたかが知れているし、消極的すぎます。もっと積極的に、自分で使う電気を自分で作ることに取り組めないか。そこで「太陽光発電」を知ったのです。ところが調べてみると、これは非常にカネがかかることがわかりました。16年前で、ナント給料の2〜3年分です。いくら原発を減らしたいと強く願ってはいても、そんなカネを出せるほどの余裕はなく、あきらめるしかありませんでした。

 5年前に家を建てかえました。その時再び調べてみると、太陽電池パネルの価格がずいぶん下がってきていて、普通の住宅用が300万ほどで、国の補助金制度もあることがわかり、「建てかえで、今はその資金がないけれど、これなら近いうちに何とか出来そうだ」と、“太陽光発電所開設計画”をスタートさせたのでした。いくつかのメーカーからパンフレットや資料を取り寄せたり、説明を聞いたりしましたが、そんな中で「国の補助金が今後減らされそうだ」という話を聞き、「有り金をはたいて思い切って太陽電池パネルを設置しよう」と決心したのでした。こうして念願の太陽光発電を開始したのは、1999年4月20日午前10時。その日は晴れて、発電には絶好の日和となり、初めて「自前の電気」が使えるようになったのでした。

 さて設置費用です。できるだけ多く電気を作りたいという思いがあり、屋根が西向き(東半分は屋上で屋根がない)で発電する条件としてはあまり良くないこともあって、普通の住宅用よりも少し大きな太陽電池パネル(4kw型)にしたため、設置費用は450万円ほどもかかってしまいました。しかし、その3分の1を国からの補助金(財団法人・新エネルギー財団)でまかなうことができて、実際にかかったのは310万円です。正直なところ、これは高すぎると思いましたが、「車1台分と同じだと考えれば、それで発電できて、地球温暖化防止にも役立つんだから、高くない」とある人から言われて、納得しました。

 それから、3つのメーター(発電量・売電量・買電量)を見て記録するのが毎日の私の仕事になっています。これを毎日忘れずにやるのは結構大変ですが、晴れた日に味わえる幸福感は倍増しました。わが「武田太陽光発電所」で発電した電気は2003年1月末で        16,757kwhとなりました。当初、「日本の電力は4割近くを原子力に頼っているのだから、せめて自宅の電気の4割以上を発電したいものだ」と願っていたのですが、発電量は使用電気量の8割程度にもなりました。2000年6月からは、設置費用を少しでも早く取り戻そうと、時間帯別契約「おトクなナイト10」に変えています。これで年間2万円ほど電気料金が安くなるという見通しでしたが、実際には3万5千円前後も安くなり、この1年間の電気料金は2千円足らずです。

 日々「太陽の恵み」を実感しながら、私がいつも願うことは、ドリカムの歌のように「晴れたらいいね」です。

T邸発電グラフ


ソーラーハウス西川

西川豊子

 西川さんのホームページより転載しました  URL:http://www.netlaputa.ne.jp/~toynishi/

 平成13年8月29日西川家に太陽光発電装置を設置しました。5年使用した中古 MSK社製 1.64kW パネル数:20枚  インバーター:オムロンです。

 01.12月ECOTECHから測定器を提供していただきました。昼間電気を使わないようにして売電量を増やすように気を付けています。たとえば、夜の間に洗濯をしたり、朝お日様が出る前に電気を使うようにして、 発電量の1/2以上を売電しています。それと消費電力を増やさないことが、温暖化 防止につながります。

 13年8月29日から15年1月31日までの我が家の累積発電量:2621.4kWh。CO2 943.7kgの排出を抑えたことになります(換算係数:東電火力発電によるCO2係数)最近、家族が減った為、電力消費が少なくなって2段階料金になった為、売電料金も減ってしまった。 買電量がドンドン減ってきているのは、節電意識の高まり。この冬の消費電力がどの程度抑えられるかな−去年の1月は500kWh以上も使っているから。

 14年1月の消費電力:527kWh15年1月の消費電力:211kWh じゃ〜ん!!パフパフ!見事半分以下になりました! 設置容量が少ないですが、発電量の半分以上を売電していることがわかります。

N邸発電グラフ


上野太陽光発電所
未来に生きる子供たちのために

上野 ひろみ

 設置から4年を経過し、子供たちの成長とともに生活時間も変化しました。子供たちが小さかったころはテレビを見る時間も大変少なく、テレビゲームもありませんでした。

 設置当初、自給率130%だった我が家は「上野さんの家は、家電製品がないのですか?」などど、冗談交じりに言われたほどでした。東西に振れた屋根や、温水器等の影響で年間発電量は南向きの屋根に比べると93%程度の発電量しかありません。節電し、使用電力量を少なくすることで、売電量も多くなっています。昨年8月分は病気の母を自宅で介護していた為使用電力が増えました。設置後増えてしまった家電製品は、FAX・パソコンです。パソコンはデスクトップを当初使用していましたが、現在はノート型を主に使用しているので消費電力は少なくなったと思います。テレビゲームも一頃の熱もさめ、ここ数ヶ月を昨年と比較すると使用電力量はまた減ってきました。

 石油をめぐる利権争いが、罪の無い命を奪ったり、傷つけたりしている現実に心が痛みます。もちろん問題の根っこは深く、それだけが原因でないことは認識しています。昨年、広河隆一さんの「チェルノブイリ・アフガニスタン・パレスチナ」に続き、森住卓さん「イラク 湾岸戦争の子どもたち」と二つの写真展にいきました。家の長女は6年生で、今卒業に向けて自画像を描いています。上記の写真展にチェルノブイリの子供たちが描いた自画像が何点かありました。「チェルノブイリの首かざり」と題がついた絵は、首に甲状腺の手術痕が描かれていました。原発事故の恐ろしさ、知識として知っていても現実を突きつけられたような気がしてとても悲しくなりました。また戦争で犠牲になる大多数は一般市民です。イラクでは、劣化ウラン弾によって今も後遺症に苦しみ、そして未来に向かい、希望にあふれて生まれるはずの子供たちが「無脳症」と言う奇形をもって闇に消えていきます。劣化ウラン弾の原料は原子力発電所から生み出される廃棄物です。

 遥か遠くから運ばれてくる石油やウラン。自給率の低さなど、つい5年程前までは考えず暮らしていました。原発は怖いと思う程度で、省エネといってもお金の節約の方が先でした。知らないで暮らしている人がいっぱいです。大人はなかなか変われないけど、たくさんの子供たちに伝えて行きたいと思っています。

U邸発電グラフ



例会は、毎月第3日曜日午後2時から、ちがさき市民活動サポートセンターでおこなっています。お気軽にご参加ください。
(イベント等で変更になる場合もありますので、ホームページ等でご確認ください)
編集後記

 太陽光発電を設置してから、“でんすけ”(子供たちがソーラーシステム付けた名前)は4番目の子として、私をたくさんの人に巡り合わせてくれました。子供たちにコンセントの向こう側を考えるきっかけもくれました。早寝早起きのでんすけ!今日も元気です。(U)